
肝臓がん
肝臓は、人間の体内にある臓器の中で最も大きい臓器です。肝臓の役割は栄養を蓄えたり、解毒を行ったりアルコールを分解したり、また胆汁と呼ばれる消化液を分泌したり、実に様々です。それゆえ、肝臓は人間になくてはならない臓器です。肝臓を半分切り取り生体肝移植が行われるのも、肝臓自体がとても再生の力が高いからです。たとえ手術によって肝臓を半分以上切り取られても、たった数ヶ月で肝臓は元の大きさに戻ってしまいます。
症状
肝臓がんは、自覚症状がほとんどありません。何故なら肝臓には痛点が無いからです。「沈黙の臓器」と呼ばれるだけあり、たとえ肝臓がんが進行してしまっても症状が無い場合がほとんどです。なので、手術ができない状態までがんが進行してしまうという場合があります。肝臓は人間に欠かすことのできない臓器です。上記の通り、生命維持の為に様々な役割を担っています。それゆえ、たとえ肝臓がんが出来た場合ですら不調のサインが送られないことが多く、かなり進行するまで患者さん本人が気付かない場合があると言われています。
具体的な症状は、腹部にしこりができる、食欲不振や体重の減少、慢性的なだるさや微熱、貧血、腹部の上の部分に鈍痛や背中に鈍痛、黄疸や腹水は肝臓がんの患者さんによくある症状です。また、これらの症状は肝臓がんの症状だけということではなく、同時に発症してしまっている肝硬変や慢性肝炎の症状も含んでいます。黄疸は、白目の部分や皮膚が黄色く変化してしまう症状です。また、腹水は肝硬変に最もよく見られる症状で、お腹に水がたまってしまう症状です。これらの黄疸、腹水の症状が出てしまった場合、かなり肝臓がんは進行してしまっている状況です。
信頼できる日本の肝臓がん治療
日本人のがんによる死因の1位は肺がんですが、肝臓がんはその4位に当たります。男女別の死因では男性が4位、女性の場合は5位になります。実際、年間で約3万5千人の肝臓がん罹患者が亡くなります。しかし、世界的に見ても日本の肝臓がんの診断、治療技術は非常に高い水準です。肝臓がんが発覚する患者さんの約半分以上ががんのサイズがまだ2cmから3cmしかないとても早期に発見されます。肝臓がんは他の臓器によって吸収された栄養を蓄えることができます。したがって、胃や大腸、小腸などの消化器官の血液が肝臓に流れてきます。
その結果、他の臓器にがんがある場合、肝臓はその影響を受けがんがとても転移しやすいのです。よって、肝臓がんは肝臓が単体でがんになるのではなく他の臓器のがんが転移して出来てしまった転移性肝臓がんがほとんどです。しかも、その数字は約90%以上と非常に高いものです。よって、肝臓自体ががんになる可能性は10%以下です。いかに転移しやすい臓器かがわかります。
肝臓がんになりやすい人
肝臓がんになりやすいのは50代以上の男性です。男女とも45歳を過ぎたあたりから肝臓がんに発症するリスクが高まります。
原因
肝臓がんの原因は様々ですが、主に慢性肺炎、肝硬変などの肝臓の疾患がある場合にかかりやすくなります。また、B型肝炎やC型肝炎ウイルスに感染している場合も同様です。さらに、アルコールの過剰摂取やたばこなどの生活習慣も肝臓がんの原因となります。
肝炎ウイルスによる影響
肝炎ウイルスは、A型からG型まで合計7種類の型が存在しています。その中で、B型肝炎とC型肝炎のウイルスに感染している場合、肝臓がんのリスクが高まります。肝炎ウイルスの感染ルートは輸血や出産、性交などです。直接体液や血液が接触することにより肝炎ウイルスに感染します。他の臓器のがんからの転移ではなく、肝臓自体からがんが発生した原発性肝がんの場合、患者さんの約15%がB型肝炎ウイルスに感染しているというデータがあります。
また、C型肝炎ウイルスの場合は約80%と非常に高い数字になっています。この2つを合わせると、約95%の原発性肝がんの原因は、肝炎ウイルスによって発症しています。数字から解るように、C型肝炎ウイルスがいかに肝臓がんを発症しやすいかがわかると思います。肝炎は肝臓が炎症を起こしてしまう病気です。長い間肝炎が治らない状態の場合、慢性肝炎となります。日本人の肝炎の原因の80%が肝炎ウイルスによるものです。また、慢性肝炎が進行すると幹細胞と呼ばれる肝臓を造るための細胞が死に、数が減ります。その結果、肝臓の機能が低下して肝硬変という病気に変化します。肝硬変から肝臓がんに進行する可能性は7%ほどですが、注意が必要です。
生活習慣の影響
お酒を飲み過ぎると肝臓がんのリスクが高まります。アルコールを長期的に過剰摂取することにより、肝臓の機能に負担をかけます。肝臓の解毒機能や分解機能に影響を与え、肝臓がんへのリスクを上昇させます。また、たばこは他のあらゆるがんの原因ともなりますが、肝臓も同様にたばこにより発症リスクが高まります。タバコにはとても沢山の発がん性物質が含まれています。たばこを吸うことにより血液中に発がん性物質が含まれます。その結果、発がんのリスクが高くなります。
まずは、予防!
日本での肝臓がんの治療はとても高い水準です。したがって、早期に発見することができれば手術により生存率が飛躍的にアップします。肝炎の疑いのある方は気をつけるようにしましょう。また、お酒やタバコなどの生活習慣もできるだけ改善することが予防に繋がります。